ウズベキスタン旅行記 2025 第7章 Part 1― 最終日、街の鼓動をもう一度感じる
Uzbekistan 2025 – Chapter 7 Part 1: The Final Walk in Tashkent
地下鉄運休とヤンギアバッド、そしてタラス・シェフチェンコ通りへ
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| 何でもありの迷宮、ヤンギアバッド――旅の最後に、もう一度。 |
地下鉄の運休、迷宮のようなヤンギアバッド・マーケット、そして再び賑わうタラス・シェフチェンコ通り。
旅の終わりに、もう一度この街の“鼓動”を確かめにいく。
ヤンギアバッド・マーケット再訪 ― カオスと再会
ホテルに荷物を預けて、アリシェール・ナヴォイの地下鉄駅へ。最終日の朝は、少しだけ身軽で、少しだけ名残惜しい。
その前にキャッシュが心細くなってきたので、ATMで引き出し。こういう“生活の補給”が混ざってくるのも、旅が終盤に差しかかった合図だ。 ずらりと並ぶ機械の列に、この街の呼吸が見える。
そこからウズベキスタン線へ。アリシェール・ナヴォイのホーム。ここは大好きな駅のひとつだ。 旅先の“好きな駅”が増えるのは、気づけばその街に馴染んでいる証拠かもしれない。
終点ドストリクに到着。どこのホームもそうだが、キリル文字の駅名表記が必ずある。 その文字を眺めていると、観光ではなく“滞在”に近い気分になる。
当初は、ここから新線に乗り換えて「最凶マーケット」ヤンギアバッドを目指す――という計画だった。 旅の終わりはいつも、予定が崩れる。けれど不思議と、そこで街の素顔が見えてくる。
ところが新線が動いていない。始発のテクノパーク方面に向かってみても状況は変わらず、ホームの空気だけが静かに滞っている。
近くの人に聞いてみると、返ってきたのは一言――「バスに乗れ」。 “行けない”が確定した瞬間、思考が切り替わる。ここから先は、街に合わせる番だ。
タクシー移動に切り替えることにして、テクノパークの近くで Yandex タクシーを手配。
入り口近辺まではスムーズに進むが、あと数百メートルというところで、まったく動かなくなる。 車が多すぎて前に行けないのだ。地下鉄は動いていない。しかも今日は日曜日。――混む理由が揃いすぎている。
運転手も気を使ってくれたのだろう。「ここからだったら歩いて行ったほうが早いよ」。 適当なところで下ろしてもらって、人の波に押されるように歩き、ついにヤンギアバッドへ到着。
あいかわらずの混沌。けれど、目が慣れるより先に身体がこの場所を思い出す。 金属の匂い、油の気配、遠くの呼び声――ここには、街の“生”がそのまま転がっている。
ヤンギアバッドのカオス感と楽しさの本編は、外伝「タシケント・混沌の最凶マーケット『ヤンギアバッド』へ」に譲るとして、 ここでは少しだけ、市場の断片を置いておきたい。
ああ、よく歩いた。やはりここは迷宮だ。一度見た場所に戻ることすら難しい。けれど、その“難しさ”が、この市場の魅力でもある。 迷っているはずなのに、なぜか気分が明るくなる。
帰り道、ヤンギアバッド駅に行って初めて、地下鉄が運休中であることを知る。 後から分かったのは、8月1日から10月いっぱいまで、保線整備でクローズしていたらしい。
「さて、どう戻ろう?」
タクシーがこの混沌エリアまで入ってくるのは難しい。かなり歩いて、ようやくピックアップに適した場所を見つける。
その間に何度か Yandex のキャンセルを繰り返しながら、なんとかドストリク駅まで戻ってきた。
タラス・シェフチェンコ通り再訪 ― 昼の賑わいと Oktober Fest
そろそろ昼ごはんの時間。ドストリクから地下鉄でミンオリグへ移動。 ブハラの夜が“光の物語”だったとしたら、タシケントの昼は“生活の音量”だ。
再びタラス・シェフチェンコ通りへ。手前から Irish Pub、Afsona、Bon! と有名店が並ぶエリアを歩いていく。 旅が終わる日に、この通りが賑わっていると、なぜか安心する。
と、突然ゲートが現れた。看板には「Oktober Fest」の文字。
タシケントでオクトーバーフェスト。似合わないのに、なぜか成立している――この街らしい“縫い目”が見えた気がした。
ゲートをくぐると、まさにイベント準備の真っ最中。空気が“始まる直前”のざわめきを帯びている。
もう少し歩いたところで昼ごはんにすることにした。当初はウイグル・ラグマンが食べられる Anor まで行くつもりだったが、 さすがにそこまでの気力は残っていない。こういう“潔い妥協”も、最終日の正直さだ。
選んだのは、タジキスタン資本のピッツァチェーン Roni Pizza Napoletana。
いつものBritz(地元のホワイトビール)と、「ナポリ人も舌を巻く」と言われる悪魔的おいしさのディアボラを。 ボリュームがちょうどよく、多すぎず少なすぎず。食べ終えた後は、ホワイトワインで締める。
そのそばでは、多数の警察官がイベント警備のため待機していた。食事を終えるころ、いよいよイベントがスタート。 各ブースから大音量の音楽が流れ、リズムに合わせて踊るウズベクレディたちの姿も見える。 “日曜日のタシケント”が、ここに凝縮されているようだった。
ここで改めて感心するのが「ツーリスト警察」の存在だ。ウズベキスタンの町には普段から多くの警察官が立っていて、 市民と旅行者の安全を守っている。こうしたイベント時には必ずゲートが設けられ、入場者をしっかりチェックしている。
こうした積み重ねがあるからこそ、街の空気に“安心の輪郭”が生まれるのだろう。 混沌と秩序が同居する、このタシケントが、やっぱり好きだと改めて感じた。

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