Berlin Chronicles 2017 ― 第4章 : Gleis 17 ― 記憶のレール
Grunewald Station – Platform 17, a Track of Memory
ベルリン中央駅からS-bahn(近郊電車)で、ポツダムに行く途中にGrunewald(グルーネヴァルト)という駅がある。何でもない普通の駅だが、どうして行きたかったところ。
ベルリン中心部から電車で20分ほど。グルーネヴァルト駅は、静かな森の中にある小さな駅だ。
週末には散歩を楽しむ市民が行き交い、日常の風景の一部としてこの駅はそこにある。
けれど、その奥にある「Gleis 17」だけは、特別な空気を纏っている。
緑に囲まれた駅に降り立ち、階段を降りて目的地に向かう。壁にはMAHNMAL GLEIS 17とある。 「過去の過ちを忘れないための場所、17番ホーム」、そんな意味だろうか。その看板に沿って、目的地に行く。
プラットフォーム17、沈黙の記録
そして現れてきたのは、現在では使われていない貨物用のホーム。
落書きされているのが残念であるが、ドイツ帝国による死のキャンプへの強制輸送列車が1941年から1945年、ここを発車した、と言うような意味合いのプレートがある。
矢印の向こうに、ホームが見えてきた。
落書きされているのが残念であるが、ドイツ帝国による死のキャンプへの強制輸送列車が1941年から1945年、ここを発車した、と言うような意味合いのプレートがある。
矢印の向こうに、ホームが見えてきた。
数字が語る、無言のメッセージ
そして、ホームに上がってみる。
金属の冷たさと静けさが共鳴している。
鳥のさえずりが聞こえるたびに、時の流れとともに少しずつ溶けていくような気がした。
しかし、ここに刻まれた数字は、消えることのない記録だ。
「記録」と「記憶」の境界が、足元に横たわっている。両脇になにやらたくさんのプレートがある。
何が刻印されているのだろうと見てみると、
この駅から、強制収容所に移送されたユダヤ人の記録。
列車が出た日付、移送されたユダヤ人の数、目的地が記されている。
これは、1943年3月2日、1,758人のユダヤ人をAuschwitz(アウシュヴィッツ)に移送した記録。
またこれは、1942年4月2日、641人のユダヤ人をワルシャワに移送した記録。
この駅から、強制収容所に移送されたユダヤ人の記録。
列車が出た日付、移送されたユダヤ人の数、目的地が記されている。
これは、1943年3月2日、1,758人のユダヤ人をAuschwitz(アウシュヴィッツ)に移送した記録。
またこれは、1942年4月2日、641人のユダヤ人をワルシャワに移送した記録。
記録ではなく、記憶としての場所
ドイツには「戦争」という「負の遺産」がある。この場所も、かつて自国が起こした命の尊さを全く無視した行動、その重い事実を忘れないように現代に伝えてくれるひとつである。
この場所は、誰かのための慰霊碑ではなく、未来のための記憶装置なのだと思う。
時間の経過がこの場所をやわらかく包み込んでも、レールは今もまっすぐに延びている。
その先にあるのは、過去でも未来でもなく、「忘れない」という人間の意志だ。
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