Vladivostok Chronicles 2018 ー 第0章:ウラジオストクへの道 ― 記憶の地図を描いて
Prologue: The Road to Vladivostok — Drawing a Map in Memory
長い休みは取れない。
けれど、知らない街を歩きたい――そんな思いがふと胸に浮かんだ。
アジアでもなく、ヨーロッパでもない。
そのあいだにある“境界の街”に、何か惹かれるものがあった。
頭に浮かんだのは「ウラジオストク」。
地図で見ると、ソウルより近く、沖縄よりも手前にある。
かつて閉ざされた港町であり閉鎖都市、冷戦の最前線。
NHKのロシア語講座を見ながら、耳慣れない響きとキリル文字に魅せられていた頃の記憶がよみがえる。
「行けそうで行けなかった国」――それが、私の次の目的地となった。
旅の準備といっても、特別なことはしない。
ガイドブックも地図アプリも使わない。
Google Mapで街の形を頭に刻み、通りの名前やランドマークを覚える。
それで十分だ。あとは現地で、歩きながら記憶の地図を更新していけばいい。
それが私の旅の方法論であり、
異国の街を“自分の速度で理解する”ための儀式でもある。
ウラジオストク――
その響きには、どこかノスタルジーと新しさが同居している。
一度は閉ざされた街が、今は世界へと開かれている。
売春宿や阿片窟が並んだミリオンカは、アートと音楽と笑顔のあふれる自由な空間へと姿を変えたという。
飛行機に乗る直前まで、私は不思議な静けさの中にいた。
初めて訪れる場所なのに、どこか懐かしい。そんな感覚に包まれながら、
“日本から一番近いヨーロッパ”への旅が始まった。
📜 当時の記録はこちら
2018年に記録したウラジオストク初訪問の記事を、そのままの形でアーカイブとして残しています。街がまだ今ほど観光地化される前、“静かな海と坂の街”の記憶を辿る旅の始まりです。
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