Ostalgie - 「オスタルギー」とは ?

Ostalgie(オスタルギー)とは、Ost(オスト - 東)とnostalgie(ノスタルギー - ノスタルジー)をくっつけた造語。つまり、旧東ドイツの暮らしを見直して、それを再評価する。という社会風潮です。


現在のベルリンでも、旧東、ドイツ民主共和国(Deutsche Demokratische Republik - DDR)をテーマにした博物館とか、雑貨を集めた店とか、レストランがたくさんあります。これはシュプレー河畔にあるDDR Museum。うっかり見過ごしてしまいそうなところにありますが、当時の庶民生活を再現したスペースとか、工業製品などの展示や、社会風潮が紹介されている、とても興味深い博物館です。


一番面白かったのは、当時のエレベーター。フロアを通過するたびに、やたらと広い箱がとんでもなく激しく揺れて、しかも照明が消える。便利なようで、不便な施設だったかのかもしれません。

もちろん、当時の国民車、通称トラビー、Trabantもありましたし、バイクとか映写機も展示されています。そうそう、今でもこのトラビーで街中をドライブというサービスもあるそうです。





東西に分断されたベルリンでは、西側と東側の格差は言うまでもなく、ベルリンの壁とか、秘密警察Stasi(シュタージ)とか、とかく東にはマイナスのイメージがありました。実際、生活も質素で、DDR Museumで再現されていた当時のキッチンとか、


リビングルームもこんな感じ。でもランプシェードの装飾には、ちょっとでも楽しく、という工夫が感じられます。


それはキッチンやダイニングでも一緒で、カラフルなプラスティック製の食器なんかを使って生活に潤いを求めていたようです。これは、eierbecher(卵置き)。地味な食卓でも、こんな食器があれば多少なりとも華やかになったんでしょうね。


新鮮な物資も少なく、野菜も酢漬けにしたり、果物もジャムとかにして保存がきくようにしていたそうです。例えば、名物、狩人のシュニッツェルJaegerschnitzeは肉ではなく、保存のきくハム、つまりハムカツだったそうです。


だから、当時の人たちは、とてもつらい思いをしてきたのではないか、と思っていました。
が、先日のNHKドイツ語会話の中で出てきた、旧東ドイツで生まれ育った男性の言葉がとても心に残りましたし、地元で生きる強さのようなものを感じました。

「Ostalgieの流行がこのまま続けばいいと思っています。若い世代も旧東ドイツから何かを学び取ることができればと思います。東ドイツ時代は悪く言われることも多かったですが、わたしは素晴らしい素敵な子供時代を過ごしました。何かが足りなくて困ることもなく、すべてを持っていましたし、満ち足りていたのです。」

だから、今でも旧東ドイツのことを想いながら、何かやろうとしている。
それが、私が旧東に惹かれる理由の一つかもしれません。


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