ベルリン中央駅からS-bahn(近郊電車)で、ポツダムに行く途中にGrunewald(グルーネヴァルト)という駅がある。
何でもない普通の駅だが、どうして行きたかったところ。
緑に囲まれた駅に降り立ち、階段を降りて目的地に向かう。壁にはMAHNMAL GLEIS 17とある。 「過去の過ちを忘れないための場所、17番ホーム」、そんな意味だろうか。その看板に沿って、目的地に行く。
そして現れてきたのは、現在では使われていない貨物用のホーム。
落書きされているのが残念であるが、ドイツ帝国による死のキャンプへの強制輸送列車が1941年から1945年、ここを発車した、と言うような意味合いのプレートがある。
矢印の向こうに、ホームが見えてきた。
そして、ホームに上がってみる。そうすると両脇になにやらたくさんのプレートがある。
何が刻印されているのだろうと見てみると、
この駅から、強制収容所に移送されたユダヤ人の記録。
列車が出た日付、移送されたユダヤ人の数、目的地が記されている。
これは、1943年3月2日、1,758人のユダヤ人をAuschwitz(アウシュヴィッツ)に移送した記録。
またこれは、1942年4月2日、641人のユダヤ人をワルシャワに移送した記録。
ドイツには「戦争」という「負の遺産」がある。この場所も、かつて自国が起こした命の尊さを全く無視した行動、その重い事実を忘れないように現代に伝えてくれるひとつである。
そんなことをいろいろ考えながら、この駅を後にした。
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